江戸城のもとはここにあり!!

小田原フィールドワークの報告

 

 2016年3月27日(日)神奈川歴教協中学校部会主催の小田原フィールドワークが行われました。参加者は部会のリーダーMさん、案内役のAさんはじめ計9名。天気予報を裏切る素晴らしいお天気で、風はやや冷たいものの春の日差しいっぱいの日でした。

 

 11時30分小田原駅西口(新幹線側)に集合すると、一同はまずイタリアンレストランで優雅にランチ。美味しいお食事をしながら初めて会った方や昔なじみの仲間と交流し、すっかり寛ぎました。

 さて12時半ごろ出発です。昨年は小田原城見学を中心にしたフィールドワークを行いましたが、今年は戦国時代の小田原城と城下町全体を囲む総構(そうがまえ)を形成する全長9㎞の堀切や土塁、そして小田原用水の見学が中心です。

 

 まずは戦国時代の小田原城が箱根外輪山から延びる尾根の先端に開けた街であることを実感しながら、尾根道を歩きました。

 遠くに小田原城天守閣や市街地の先に広がる相模湾を見ながら歩いて行くと、お寺の駐車場の先に茶畑がありました。これが大外郭の一部をなす堀の跡で、そこから密集した竹藪を通り抜けると小さな平場があります。

茶畑は総構の堀の跡
茶畑は総構の堀の跡

御鐘ノ台大堀切の中を歩く
御鐘ノ台大堀切の中を歩く

 民有地の中に、ここだけが小田原市の所有地で「総構城下張出」の表示板が立っています。実はこのコースは今年1月にNHKで放送された「ブラタモリ」でも紹介されたところ。何でもない平地を発掘調査によって総構から張出す防衛施設と見抜き、きちんと保存した小田原市教育委員会に脱帽でした。

 尾根道はしだいに山にさしかかり、足元のツクシや咲き始めた桜に目を奪われながら歩いて行くと、総構を形成する「山ノ神堀切」が出現、さらに進んでいくと「小峰御鐘ノ台大堀切(こみねおかねのだいおおほりきり)」が現れました。いずれもきれいに草木が刈りこんであり、V字形の堀の形がよく分かります。特に「御鐘ノ台大堀切」は巨大で、幅は30メートル、深さは12メートルにも達します。どこまで続くのか堀の底をみんなで歩いてみました。空気がひんやりして、何の音もしません。戦国時代にこの堀の上から弓矢や鉄砲で攻撃されたら…、と思うとタイムスリップしたような不思議な感じがします。秀吉軍が攻めあぐねたという小田原城の守りの固さが偲ばれました。

御鐘ノ台大堀切の中を歩く
水量豊富な荻窪用水

 尾根道に戻り北原白秋が「野外劇場」と名付けたビューポイントから、足柄平野の眺望を楽しんだりしながら更に行くと、道はしだいにみかん畑の中をたどる山道になりました。

 

 アップダウンをくり返して疲れてきた頃に、次の目的地荻窪用水にたどり着きました。 荻窪用水は江戸時代後期に早川の水を箱根湯本から水田の無かった荻窪村へ引くため、村民らの力で開削された灌漑用水路です。1802年に完成し、70町歩の新田を開発したという水路は、今も入生田、風祭、荻窪などに灌漑用水を供給しています。幅2メートルほどで所々がトンネルになった水路には、滔々ときれいな水が流れていました。

 

 そこから少し先には山縣有朋の別荘に水を引いた山縣用水の水源池がありました。貴重な荻窪用水の水を、山縣の政治権力で一部引きこんで造った貯水池です。径26mほどの歪んだ円形で水はよどんでいますが、今も別荘である古稀庵(こきあん)の池の水として使われているそうです。

山県用水水源池
山県用水水源池

 ここから山を下って、箱根登山鉄道風祭駅にほど近いAさんの別邸(ご親戚の画家の旧アトリエ)へ。素晴らしい絵を眺めたり、お茶やお菓子をご馳走になり、すっかり気分もリフレッシュしました。

 しかしこの時点で時刻は3時半、長興山のしだれ桜と、ういろう博物館はまた次の機会に見学することにしました。

 

 休憩をとったおかげで足取りも軽くなり、途中で湘南ゴールドや清見オレンジなどの無人販売スタンドでお土産をゲットしながら風祭駅に到着。ここから箱根板橋駅まで1駅箱根登山鉄道に乗り、下車してから風祭方向に歩いて早川の川岸に降りると、箱根用水取入れ口に到着です。大きな川を仕切って分水させた水を、いったん緩やかな淵に貯めてから水路で小田原市街地へ流すようにしてあります。

 

 水路には水門が設けられ、余分な水は別な水路を通って自然に早川へ戻るようになっています。水門を閉じればたとえ台風が来ても、市街地が水害にあう心配が無いように造られているのです。

 この小田原用水は城下町に飲料水を確保するために、北条氏によって造られた日本最古の上水道だそうです。すでに16世紀半ばには出来ていたことが文献で分かるそうです。日本各地に江戸時代の水路の残されている街はありますが、これだけ古い用水がしかも大きな川から分水する取入れ口まで残っているところは珍しく、感動しました。徳川家康はこの小田原上水を参考に、江戸市中に飲み水を供給する神田上水を引いたと言われています。

 

小田原用水取入れ口
小田原用水取入れ口
用水に設けられた水門
用水に設けられた水門

街中を流れる小田原用水
街中を流れる小田原用水

 続いてこの用水路の流れに沿って、小田原城の方向へ歩きました。

 箱根板橋は財界政界の要人の別荘地として栄えたところで、電力王と言われた松永安左衛門旧宅を保存した松永記念館や、明治の元勲山縣有朋の別荘古稀庵があります。私たちはその前までは行きましたが、残念ながら閉館時間を過ぎており見学はできませんでした。

 さらに市街地を行くと、狭い道に沿った水路ギリギリに民家が建っており、その一軒は徳川家康の江戸城建設の御用も勤めた石屋さんだという話に一同ビックリ。今も石屋さんは続いており、家の周囲には石灯籠などが並んでいました。

 ここから旧東海道の広いバス通りに出て、ういろう博物館の前を通りました。まるで小田原城の天守閣を思わせる大げさな建物にちょっと絶句。でもこれも時間切れで見学だけでなく、お土産も買えなかったのはちょっと残念でした。

 

 

 そこからは先は小田原城を眺めながらお堀端通りを歩いて、一路小田原駅へ。全行程は歩数にして2万歩を優に超える健脚コースでした。

 小田原の城下街を取り囲む総構えのスケールの大きさと、16世紀に開削した上水のための水路という、小田原城下町の根源に迫る本当に興味深いフィールドワークでした。山道や裏通りを知り尽くした、Aさんの案内が無ければとても行けない場所ばかり。しかも途中お宅で休憩までさせていただき、本当にありがとうございました。

 

(神奈川歴教協M・K)

 

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